教職員(姜講師)の研究活動紹介

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教職員の近況

教職員(姜講師)の研究活動紹介

華僑・華人のネットワークを考察するため、2015年8月7日から11日間、オランダとフランスとスペインで調査を実施しました。華僑企業家に焦点絞り、血縁・地縁関係の実態解明を目的とした欧米華僑・華人調査の第2弾であります。

時間の制限があるため、今回はフランスのパリ、スペインのマドリードとバルセロナの3都市をメインにしました。フランスのパリには、広東籍や浙江籍の華僑がそれぞれ13区と19区に集中しています。調査では13区の隅々まで歩き回り、このヨーロッパ最大規模と言われるチャイナタウンの全貌を把握し、広東華僑企業家10数名を取材しました。僑郷としての広東省からフランスに渡航してきた華僑たちは、勤勉に加えてコミュニティの力を活かして現地生活に定着し、血縁をベースに形成された同郷人のネットワークが大きな役割を果たしたことが改めて確認されました。

一方で、スペインにはマドリードやバルセロナなどの大都市に新華僑が集まり、特にマドリードのウセラ地区はスペイン華僑全体の70%が住んでいます。近年、スペイン経済の不振により、この地区の治安が非常に悪く、華僑たちが常に犯罪者に狙われる対象になっているそうです。不景気なスペイン経済にあって、中国人の投資や移住は確かな活力を注ぎ、成功した中国人も多いので、一部の人々に「中国人はみんな金持ち」というイメージが印象づけられ、その結果、中国人は狙われるターゲットになったのかもしれません。

延べ11日間の短い期間ですが、今まで知らなかった現地状況を把握し、異国の風習を五感で味わうことができ、充実したフィールド調査でした。仕事の合間を活用してスペインの砂浜や建築、そしてパリの美術も楽しみました。(姜記)

 

 

教職員(姜講師)の研究活動紹介

本学院の姜紅祥専任講師(大学院進学、生活指導担当)が調査のため、欧米三カ国を訪問されましたので、ここでご紹介します。かなり過酷な旅行になったようですが、お疲れ様でした。

=====姜講師より=====

8月6日から18日まで、2014年度から3年間にわたる科研プロジェクト(龍谷大学)の一環として、欧米における華人・華僑の実態調査を実施しました。今回は、イタリア、オランダ、アメリカの3カ国に行って、ローマ、フィレンツエ、アムステルダム、ニューヨークの4都市で華人・華僑の事業状況、企業と個人間のネットワークを考察したものです。

今回の取材先は、ローマ市内中心部とフィレンツエ近郊のプラット、アムステルダム中央駅付近、ニューヨーク・マンハタン周辺にあるチャイナタウンを中心にしました。これまで日本の京都と大阪と神戸でも同じ目的で調査を行いましたが、実際に欧米の現地に行ってみると、華人・華僑が大いに活躍したことに驚きました。チャイナタウンの規模が日本よりはるかに大きいだけではなく、中華レストランの経営という伝統産業を超えて、華僑たちはすでに多くの産業に参入し、現地国経済の一翼を担う大きな役割を果たしています。例えば、イタリア・プラットは、最近の10年の間に欧州アパレルや靴の生産・販売基地にまで成長しており、そこには中国人が経営する数千社のアパレル関連企業があり、デザインから小売まで、サプライチェーンのすべての部分に従事しています。それに対して、イタリア地元のアパレル製造企業は、もはや数社しか存在せず、一次卸や二次卸に転身しました。もちろん、華僑・華人の成功の裏には、個人の勤勉さや努力が欠かせないものの、相互の緊密なネットワークと連携が最大の武器ではないかと思われます。

短期間で3カ国、しかも西回りの世界一周の航空チケットを使って移動したため、移動するたびに時差が加わり、かなり過酷な仕事でした。しかし、海外で活躍している中国人を取材することは、同じ中国人である自分にとって大変刺激的であり、今後の研究や教育にとっても大変有益でした。(姜記)

 

教職員(赤桐講師)の研究活動紹介

本学院の赤桐敦非常勤講師(京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程在学中)が学会報告のためオーストラリアに行かれ、その活動中、本学院の学生にとっても興味深いのではないかと思われる部分を一文にまとめ、寄稿してくださいましたので、ご紹介します。

=====赤桐講師より=====

私は7月7日から一週間、オーストラリアのシドニーにいました。日本語教育国際研究大会SYDNEY-ICJLE2014に参加し、口頭発表を行うためです。

日本語教育国際研究大会は、2年に一度行われる日本語教育研究の世界大会で、今回で11回目です。前回は名古屋、前々回は天津で行われました。

日本からシドニーまでは、東京の成田から直行便が運航されています。飛行時間は9時間ぐらいで、時差は1時間しかありません。ただ、季節は北半球と逆なので、今は冬です。

シドニー空港に着いてまず驚いたのは、中国語と中国人が町に溢れていることです。空港の広告や案内には英語に並んで中国語が使われていますし、入国手続きで並んでいる人もほとんど中国人でした。

電車で市内に入り、ホテルにチェックインしたのですが、英語が苦手な私は少しまごつきました。友人の話では、オーストラリア英語とアメリカ英語は、少し違うのでやっぱり聞き取りにくいそうです。ホテルはきれいで、従業員もフレンドリーでした。オーストラリアでは、ちょっとした買い物でも、親しげに挨拶をして話しかけて来ます。

物価は日本より高いです。オーストラリアは、鉱業や農業などの第一次産業と金融などの第三次産業が発達していますが、製造業などの第二次産業はあまりありません。日本や中国と違い、工業製品の多くを輸入に頼っているために、物価が高くなるのです。

国際研究大会はシドニー工科大学で行われ、オーストラリア人の研究者も多く来ていました。基調講演では、オーストラリアの日本語教育が紹介されました。オーストラリアは、80年代から日本語教育が盛んで、現在でも第二外国語の中で一番学習者が多いそうです。しかし、日本がアジアでナンバーワンではなくなったこと、オーストラリア国内で英語だけを重視する保守的な考えが広がり第二外国語を学ぶ学習者が減っていること、などの理由から、将来日本語学習者が減少すると考えられています。

私は、言語政策のパネルで、「1900年前後の日中間の言語教育政策の接触―盧戇章が見た総督府の公教育政策―」という発表を行いました。盧戇章という人は、中国人で初めてピンインの原型を考案した人ですが、実は、彼が日本の支配する台湾に来て、総督府に勤務したことがあったのです。このことは、余り知られていないので、研究者の関心を引きました。

国際研究大会には、中国や東南アジアで教えている友人たちも来ており、久しぶりに会うことができました。また、日本で会うことのできない研究者たちと知り合うこともでき、とても有意義な時間を過ごすことができました。 本学大学院クラスのみなさんは、学位論文だけでなく、学会や学術雑誌などで自分の研究を発表することを目指して、研究の準備を行いましょう。

 

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